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協同組織金融機関のあり方に関する審議から

さきで取り上げた金融機関は、いずれも地域に密着した協同組織金融機関である。これは単なる偶然だろうか。株主の利益を最優先し利潤の極大化を追求する株式会社組織の銀行では実現困難であり、やはり相互扶助を基本理念とする協同組織金融機関だからこそ可能な取組みといっても過言ではない。業態別にみると、大手行はグループ内に消費者金融会社や信販会社を抱えるだけに、多重債務問題への取組みを展開するとなれば利害が衝突することになりかねない。地方銀行や第二地方銀行は株式会社組織とはいえ地域金融機関であるが、市町村レベルでいえば地元に槻密な店舗網を有する信金・信組など協同組織金融機関の存在感が大きい。

多重債務問題への対応を迫られる市町村との連携では、狭域高密度の経営を展開する協同組織金融機関ならではの特性や本領を発揮しやすいと考えられる。しかしながら、協同組織金融機関に対しては厳しい目が向けられていることも忘れてはならない。それは、2009年6月29日に「中間論点整理報告書」が公表された金融審議会金融分科会第二部会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」(以下、WG)において審議が行われた事実からも一目瞭然だ。協同組織金融機関の今日的意義や今後の方向性が真摯に問われている。メディアでは大々的に報じられなかったが、この中間論点整理報告書の一節に目を奪われた。

それは同報告書6頁の「新たな形態の可能性」と題する以下の記述である。「貧困や格差が大きな社会問題となる中、小規模の事業者や消費者のうち、比較的リスクが高い層に対する使い勝手のよい金融サービスが手薄であるとの指摘がある。小規模の事業者・消費者の相互扶助を使命とする協同組織金融機関の原点に立ち返り、例えば、小規模の事業者や消費者の生活支援に特化し、協同組織性を発揮しうる新たな金融機関の設立・活用について検討することが望ましい。その際、例えば、業務内容にういては必要最低限のものとする一方で、行為規制は軽減する等の枠組みも視野に入れた制度的な検討を行っていくことが考えられる」ここでいう「新たな形態」「新たな金融機関」とは何か。

報告書が念頭に置いているのは、社会的に存在感を増しつつあるNPOバンク(金融NPO)や生活再建に向けた貸付事業を行う生活協同組合のことであろう。NPOバンクの実情はさきのとおりだが、これらは「狭義のNPOバンク」と位置づけられる。これに対し、岩手県消費者信用生協、生活サポート生協・東京、グリーンコープ生協ふくおかのような貸付事業を行う生協を「広義のNPOバンク」に含めることもある(全国NPOバンク連絡会〔2010〕)。NPOバンクはわが国独自の形態だが、その位置づけや事業内容から「日本版グラミン銀行」と呼ばれることも多い。

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